hiramesのブログ

サラリーマンを辞め、起業をするまでの軌跡

仕事とプライベートの分け方

仕事仲間が、遊び仲間になることもある。

我が社は急激な高齢化が進み、将来のある若者は「この会社に将来はない」と会社に見切りをつけ、早々に退職し、残るのはポンコツな社員と超高齢化が進むおじさんばかりである。僕は、『情シス』なので会社のメイン業務とは離れ、基本的には一人事務所でパソコンに向かう日々を過ごしている。基幹システムの維持、回収、社内インフラの整備、情報セキュリティマネジメントシステム(通称:ISMS)の維持、貸与パソコンの管理、その他、日々起こるパソコンのトラブルバスターが主な仕事で、現場で働く技術者のおじさんたちとは、基本的に朝晩のミーティング時にしか接点がない。ないはずである。本来は、同じ社内にいても、活動の場が違い過ぎで、仕事中に関わることがないのだ。

ランチタイムも、技術のおじさんたちは事務所に戻ることなく、現場の休憩室で取るし、僕が真面目に一日中、事務所で作業をしていれば、接点はない。現に、同じ事務作業が中心の総務や経理とおじさんたちは、年に数回の飲み会でしか話をしていないらしい。つまり、本来であれば僕も、技術のおじさんたちとは話をする機会もなく、総務や経理、事務のお姉さん方と事務所でヨロシクしていれば良いはずである。

だが、僕は技術のおじさんたちと、すこぶる仲が良い。仲が良いというより、おじさんたちに可愛がられているような気がしている。これは感謝でしかないのだが、基本的に余所者に対し、斜に構え、威圧的な態度を取る現場の職人気質が高めのおじさんたちが、奇妙なモノに触れるような感覚で僕を可愛がってくれるのだ。

ちなみに、僕は年齢四九歳。世間一般的には「おじさん世代」である。そして、僕を可愛がってくれる現場の技術者のおじさんたちは、年齢五九〜七九歳である。叩き上げの技術者で、さらに人生経験の豊富なおじさんたちの目には、僕は、『何かが足りない男』として映っているようで色々と教えてくれる。道具の使い方から、機械の構造、原理、一般常識まで何から何まで・・・まるで、僕に全ての経験と知識を引き継ぐかのように。それも18人のおじさんたちがである。事務所を離れ、現場に顔を出すたびに、おじさんたちに声をかけられ、色々とご教授を頂くのだ。

そして、去年の夏からは、休日も一緒に遊びに出掛けている。そのきっかけは、全社員が車通勤をしている中、僕だけが楽しそうにバイク通勤をしていたことだった。僕は単身赴任で現在の拠点に来ているのだが、パンデミック前に購入し、ソーシャルディスタンス中に家にこもっていることのできない僕のストレスを発散させてくれたクロスカブ110を通勤のために持ってきた。もちろん、通勤用に車も持ってきているが、ユーノス・ロードスターという変態的な趣味車のため、毎日の片道10kmの通勤で走行距離を伸ばしたくないとの思いから、クロスカブ110を通勤のために持ってきたのである。夏は暑く、冬は寒い地方のため、バイク通勤をする人間はいない。近隣の会社でもバイク通勤をしている人間は見かけない。そんな中、転勤初日からクロスカブで通勤をしたのである。

ファーストインプレッションは重要である。おじさんたちの中で僕は奇人変人の類に見えたようで、それから、ずっと可愛がってもらっている。はじめに声をかけてくれたのは、大型バイクを趣味にしているおじさんだった。「どうせ、やることがないなら、おすすめのツーリングコースに連れて行ってやる」と週末にツーリングのお誘いをしてくれた。そして、1200ccの大型バイクと110ccのカブでツーリング・・・。ツーリングという名の苦行。お互いに苦行でしかなかった。そんな苦行を面白おかしく、おじさんたちにしたので、それからは、昔バイクに乗っていたというおじさんや、会社の誰にもバイクが趣味だと伝えていなかったおじさん、老後の趣味としてバイクの免許を取りに行ったおじさんが仲間になり、月に二度程度、みんなで遊びに行っている。ちなみに、クロスカブでは、おじさんたちとのマスツーリングがツラく、現在は250ccのバイクを購入し、遊びに通勤に利用している。

仕事仲間が、遊び仲間になることは稀にある。もちろん、仕事だけの付き合い、いや、仕事ですら話したくない人間もいるが、毎週のように一緒に遊んでくれるような仲間ができることもある。仕事以外のつながりを築きたいと思うなら、自分から情報を開示し、興味を持ってもらうことが大切だと僕は思う。反対に、市議と仲間の意外な一面を知ったら、褒めたり、共感したりすることで、生涯の仲間になってくれる確率は上がる。僕はクールにビジネスだけの付き合いをするより、仕事を通してでも、仲間を作った方が楽しい人生になると思っている。ただ、仕事が近い場合は、その限りではない。