会社に残る勇気と去る勇気。選択が迫られている
僕は来年の誕生日に起業する。5年前から、中小企業の商社で情報システム部門の長(ひとり情シス)として働いているが、やはり、やりたいことで稼ぎたいと思っている。
いま抱えている、いちばんの不安は現在、会社から貰っている給料と同じだけ稼げるかと言うことである。おそらく、会社を辞めて起業をしたいと思いながらも踏み切れない人の多くが躊躇う理由だろう。僕も二五年近く、「会社辞めたい」と思いながら踏み切れなかったのは、経済的な不安である。
サラリーマンのメリット
やはりサラリーマンとして働いていると、どんなにサボろうが、文句を言われようが、毎月決まった額を決まった日に給料を貰えるという安心感がある。貰える額に満足するかは別として。
さらに、自分が得意な仕事をしていれば、他の部署が何をしているかを知らずとも生活が出来るのも大きなメリットだ。起業をしようとすると営業も、経理も、総務の仕事も全て自分でやる必要がある。
はっきり言って怖い。この最大のメリットを捨ててまで、自分のやりたいことをやるのか・・・。妻や息子たちを巻き添えにして、やりたいことをやって良いのか・・・。不安でしかない。
起業するにあたっての不安
会社でそこそこの肩書を得て、ルーチンワークのように、どんな仕事にも対処が出来るようになった経験と知識を捨てて、自分のスキルだけで稼ぐ。加えて、新しく経理や営業などのスキルを身につけることが出来るのか。不安は膨らむ一方である。
普通に考えて、齢五〇の親父には難しいのではないか。失敗してどん底の生活に落ちるのではないか。家族から見放され、孤独に生きることになるのではないか。そんな疑問が頭の中をぐるぐると回る。
どうか神様、僕に幸せな未来を与えてください。
と神頼みもしたくなる。
残る勇気と去る勇気
とは言っても、会社に残ることにも不安がある。我が社は、ワンマン社長が一代で年商三〇億円までに大きくした会社だ。そのワンマン社長も、歳を重ね、七〇歳。少し強引だが、類稀なるリーダーシップも、神がかり的な判断力も衰えてきた。おそらく、今期は前期の年商を大きく下回る。このままでは、倒産・・・。倒産までは行かなくても、間違いなく事業を縮小せざるを得ない。
さらに、その社長と一緒に会社を支えてきた人たちの高齢化・・・。我が社の年齢比率は歪んでいる。高齢社員の比率が高い。約半数の社員が六〇歳を超え、来年には約三分の一が定年退職を迎える。五年後には半数の従業員が定年退職をする。もちろん、会社も対策として、採用活動をしているが、最近採用された人間が、五年後までに一人前の技術者になるとは思えない。つまり、ゆっくりと沈みゆく船に乗っているようなモノだ。
五年後には、僕は五五歳。そのタイミングで無職になるより、体力も気力もある今の方が踏ん張れる気がする。幸いにも、僕には、二〇年間で身につけたwebのスキルがある。今のうちに起業をし、webデザイン・プログラミング・マーケティングのスキルでファンを作り、人生後半のために種を撒こうと思う。